生成AI時代に求められる「大学入試の小論文」とは?
生成AIの普及により、流暢な文章が瞬時に出力される環境が整った現代において「小論文の書き方を学ぶ必要があるのか?」という疑問が生じるのは自然なことでしょう。しかし、主要な難関大学は小論文入試を継続しており、その重要性は維持・強化される傾向にあります。
大学側が小論文を実施する背景と、それを学ぶ客観的な意義について解説します。以下の文章を確認することで「大学入試における小論文の本質的な意味」を理解するヒントに活用してください。
これに従い大学側は、生成AIによって作成された文章は「既存データから確率的に導き出された一般的な見解」にとどまりやすい性質を把握し、生成AIによって書かれたものを考察の過程を省略して提出しても評価が得られない状況になりつつあります。「生徒は生成AIを使用している。では、生成AIに提示された資料や偏りを検証し、自らの論理的思考に基づいて再構成できているか?」を問うことがスタート地点となります。
1 文部科学省は「受験生の生成AIの使用」を想定している
まず前提として文部科学省は『大学入学者選抜における生成AIの取扱いについて(PDF)』によると、受験生が生成AIを使って志望理由書などを作成してくることを想定しており、それぞれの大学の募集要項に対応方針を明記するよう求めています。これに従い大学側は、生成AIによって作成された文章は「既存データから確率的に導き出された一般的な見解」にとどまりやすい性質を把握し、生成AIによって書かれたものを考察の過程を省略して提出しても評価が得られない状況になりつつあります。「生徒は生成AIを使用している。では、生成AIに提示された資料や偏りを検証し、自らの論理的思考に基づいて再構成できているか?」を問うことがスタート地点となります。
2 小論文の本質は「文章表現」ではない
小論文に対する誤解として「美しく、読み手の心を動かす文章を書く」という認識が挙げられます。実際に受験生から「感動させる文章を書きたい」「文学作品のような、豊かな文章表現を身につけたい」と相談されることも少なくありません。しかし大学入試における小論文に必要(評価されるポイント)は大きくわけて3つであると、私は解釈しています。
1)課題の設定「与えられたテーマから、問題の本質を把握し課題を設定する力」
2)論理的思考力「自分の主張(立場)に対し、客観的事実を紐付け、論理的に構成する力」
3)多角的視点「想定される反論を考慮し、多角的に検証(深い考察)する力」
おおまかに、この3つの柱で指導を行い、生徒の学力、志望校、そして目標とする段階に合わせて修正を行なっていきます。すべてが噛み合い機能することにより「読み手の心を動かす文章」になる場合がある。それが目標ではない、まずは内容である、ということです。表面的に整った文章でとどまらず「この小論文の背後に、どのような思考が存在するか」が評価のポイントになるわけです。(参考:大学入学者選抜における多面的・総合的な評価について)
3 これからの時代に必要なもの
文部科学省が推進する「高大接続改革の動向について」や新学習指導要領では、これからの時代に必要な資質・能力として「思考力・判断力・表現力」が掲げられています。ここで求められているのは、すでに存在する正解を検索する能力だけではなく「正解が確立されていない問いに対し、仮説を立て論理的にアプローチする」ことです。生成AIにより文章の作成が自動化されたからこそ、本来その背後に存在するべき思考の深さが直接的に評価する方向へ進んでいくでしょう。生成AIが提案する内容を批評し、思考を深めるには、それを評価する基準が自分の中に存在しなければいけません。存在しなければ、AIの提示する情報を無批判に受け入れることになります。
繰り返しになりますが「大学入試の小論文を書く」ということは「適切な問いを立て、考察・検証し、論理に構成すること」です。これは生成AIをツールとして活用するために、必要となる能力を築く基礎です。これらを体系的に育てる実践的な手段として「小論文」が求められていると考えられます。現時点において、そのように理解してもらうことが大切であると私は考えています。
まとめ
今回の内容は、あくまでも現段階における視点です。しかし、受験生を長年指導してきた内容が基礎にあり、それを生成AI時代に合わせて補足説明したものにすぎません。本質、という言葉には、5年、10年で使えなくなるものではない、色褪せるものではないはずです。 生成AIなど最新のツールを活用することによる利点は、すぐに一般化し陳腐化する時代です。受験生のみなさんには、10代の今だからこそ吸収できる能力を大切に、受験勉強を通しこれからの社会に必要な能力を磨くことに、貴重な時間を磨いてほしいと考えています。(EG式塾長 佐藤)
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