初回の学習相談で、Aさんは目標を語ってくれました。「自分らしさ」という言葉は魅力的です。自分の個性が表現され、それが他者から評価を受けることができる。そのような文章を書けるようになる事を目標にしたい。その気持ちはよくわかります。
しかし、大学入試の小論文で「自分らしさ」を追求するのは、最終段階での目標になります。 自分らしさとは「自分の価値観を把握し、明確な柱ができている状態」の上に成立するからです。 骨太な表現を支えるためには、それを支える深く確固とした基礎(自我)が必要です。この部分を育てておかなければ、軸がブレた文章しか出来上がりません。矛盾、論理の飛躍、そして何が主張したいのかわからない内容で、終わってしまう可能性があるからです。
「守破離」という言葉があります。
新しい何かを身に付けるには、まず基本の形を徹底的に「守」る演習が必要です。 どのような課題を与えられても、予想外の質問が飛んできたとしても、それに正面から対抗できる。限られた時間の中でも慌てずに、基本的な回答を提案できる。言葉にすると簡単ですが、そのような基礎力を身に付けるには、実践形式での試行錯誤を繰り返し、自分に不足している部分と向き合いながら淡々と積み重ねていく、膨大な時間が必要になります。 大学入試では、1度のチャンスでそれを発揮しなければいけないのですから、想像以上のプレッシャーもかかってきます。
このような実践を意識した「守」の時間を繰り返した後に、自分らしい表現を模索する時間へと進んでいきます。 自分の壁を「破」ろうと模索を続ける作業は一進一退で、端からすると思うように進めない苦しい時間に見えるかもしれません。しかし実際には、その時間が楽しく感じられるものです。少なくとも私が指導してきた生徒の多くはその時間を「楽しい」と表現していました。それは「守」の時間を確実に積み重ねたからこそ、体感できる感覚なのでしょう。
難関大学への小論文対策と聞くと、難解な専門書を大量に読み、膨大な資料を収集していくような学習が要求されていると感じているかもしれません。しかし実際のところは、教科書レベルの基本的な知識を確実にそして幅広く丁寧に理解し、そこからどのような組み合わせを探っていくかといったものです。そこに、時事問題や最新の資料を直前まで入れ替えながら最適解を探っていくのです。昨日より今日。今日より明日。指摘されたミスや不足している部分を次回までに修正していく。そんな地道な作業の連続です。
始めたばかりの頃は、なかなか先に進まず、もどかしく感じる時間が続くかもしれません。しかし、100時間200時間と「守」の時間を正しく積み重ねていけば、どこかで加速する時間がやってきます。焦らずたゆまずルーティンを崩さず、淡々と進んでください。皆さんの新学期のスタートが、そのような時間になることを願っています。
がんばれ受験生
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